【本】『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

その個性的過ぎる文章と、独創的な世界観で多くのファンを魅了する森見登美彦さん。『夜は短し歩けよ乙女」は、そんな森見さんの魅力がぎっしり詰まったおすすめの一冊です。

 

最初の感想は「なんじゃこりゃ?」

僕が森見さんの作品に初めて触れたのが、この『夜は短し~』でした。大学生の頃にその表紙に惹かれてジャケ買いイラストは中村佑介さん)。読み始めてから最初の感想は、「なんじゃこりゃ?」というもの。とにかく文体が特徴的過ぎて、どうにも馴染めそうにありませんでした。

 

森見さんの作品に共通するのが、この文体との相性。作品のなかには読みやすくライトなタッチで書かれたものもありますが、本性(?)と呼べる『夜は短し~』や『四畳半神話体系』などは、読む人によっては抵抗を感じる方も多いのでは。しかし一度その魅力につかまったら、もう抜け出せない。

僕も文章のテイストに慣れてからは、まさに「一気読み」でした。

 

物語の意味を見つけるのは不可能(笑)

森見さんの作品には、常識が通用しません。鯉は飛ぶし天狗も出てくるし、象のお尻も出てくる。物語に意味を見つけようとするのは、もはや不可能な作業です(笑)

『夜は短し~』もおなじ。とにかく何も考えず、ただストーリーに乗っかっていれば、またたくまに森見ワールドの虜になります。

 

『夜は短し~』はその名言の数々もファンの人気を集めています。物語のどこかしこに名言が溢れかえり、各地で爆発している。ページをめくりながらクスクスと(ニヤニヤもあり)なることから、電車のなかで読むには注意が必要です(笑)

 

映画化も発表され期待大

先日にはついにアニメ映画化も発表された『夜は短し~』。

監督にはアニメ『四畳半神話大系で森見ワールドを見事に映像化した湯浅政明さん。主人公役には人気絶頂の星野源さんが声優で起用されます。もちろんキャラクターは中村佑介さんが担当。もういまから楽しみでたまりません!

 

映像を見る前でも、見たあとでも、気になる方はぜひ一度読んでみてください。

 

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 

 

【本】『「言葉にできる」は武器になる』梅田悟司

人気コピーライターとして知られる梅田悟司さん。本書は言葉のプロが丁寧に語る、「思考を言葉にする」ための濃密なレッスンです。

 

文章講座ではなく「思考」講座

当初この本を購入した目的は、「分かりやすい文章を書きたい」という理由からでした。そのため本の内容も、コピーライターによる文章講座だと想像していたのですが、見事に裏切られました。もちろんよい方向に。

本書のテーマとなっているのは、「内なる思考」をいかに言葉にするか。言葉をただのコミュニケーションツールとして考えず、より深く掘り下げてみる。そのために必要となるのは、どれだけ思考を深められるかということ。

 

思考を深めることで言葉はさらに武器となる

本書の前半では、この思考を深める方法について詳しく述べられています。自分の内面に隠れた思考をいかに掘り起こすか。そのためのアイデアやヒントがふんだんに盛り込まれています。この前半部分が土台となり、具体的な言葉を扱う後半部分はよりいっそう魅力的な内容となっています。

 

ビジネス書として価値ある一冊

冒頭にも述べましたが、この本は文章のレベルアップを目的とする方はもちろん、一般のビジネスパーソンにとっても価値ある一冊です。随所に語られる梅田さんの言葉には、ビジネスにおける普遍的な心構えを教えてくれます。それを知ることができるだけでも、本書を読む価値は十分。

書店で見かけた際は、ぜひ一度手に取ってみることをおすすめします。

 

「言葉にできる」は武器になる。

「言葉にできる」は武器になる。

 

 

【本】『直撃 本田圭佑』 木崎伸也

Numberのインタビュー記事として人気を集める本田圭佑シリーズ。2010年から続くインタビューを一冊にまとめたのが本書、木崎伸也さんの『直撃 本田圭佑』です。

 

本田の人間性を掘り下げる木崎さんの執念

本書はスポーツライターの木崎さんが、本田圭佑にインタビューをおこなうという至極当たり前の企画から始まっています。しかしそれは、次第に人間・本田圭佑とライター・木崎伸也の激しいぶつかり合いへと発展します。

 

本田圭佑が一貫しているのは、「面白くない質問には答えない」ということ。それはおなじ「プロ」という肩書を背負うスポーツライターへの、本田流のパス。そして一度答えると決めたなら、その一文字にまで神経を尖らせる徹底ぶりが、読み手の心をおおきく揺さぶります。

 

本書のスタート時、木崎さんの質問はどことなく不安げでした。しかし本田との厳しいやり取りのなかで、彼の質問も鋭さを増していきます。何度となく本田に「フラれ」ながらも、必死に食い下がるその姿は、まさに執念の一言。本田圭佑の人間性をあばくだけでなく、プロの仕事人としての歩み方も考えさせられる良書です。

 

愚直なまで、まっすぐに

本田圭佑ほど世間での印象が一人歩きするプレイヤーは少ないのではないでしょうか。相手を挑発するような過激な発言がメディアにフォーカスされ、その言葉の真意まで語られることはありません。

 

ただその言葉のすべては、彼が意図して発したもの。本田ほど言葉の持つ力を意識しているプレイヤーは他にいないのではないでしょうか。自分を追い込むため、周りを巻き込むため、敵をあざむくため。ときにはその全てを一言に込めて発している。

 

本来ならそうした姿は「策士」といったイメージが一般的ですが、本田にはそれはふさわしくない。なぜなら彼の言葉は、どこまでもまっすぐだから。

愚直と呼べるほど、真摯にまっすぐ向きあい、発言の先にある炎上を微塵も恐れない。むしろ待ってましたとばかりに飛び込んでいく。だからこそ本田圭佑は世界の人々を引きつけ、いまなお成長への歩みを止めないのでしょう。

 

本田圭佑の実像を垣間見れる、数少ない一冊です。

 

直撃 本田圭佑 (Sports Graphic Number)

直撃 本田圭佑 (Sports Graphic Number)

 

 

【考え方】最近気になる「働き方」という言葉

長年の本好きが積み重なって、週に4日は本屋を訪れる生活をしていると、もはや「習慣」のひとつと呼べるかもしれません。

 

次々と発売される「働き方」本 

そんな習慣を続けていると、社会のニーズやトレンドが、本のタイトルという形で次々と目に飛び込んできます。最近気になるのは、「働き方」という言葉。

昨年末から数えるだけでも、働き方関連の新刊が続々と発売されています。

 

僕自身もこの数年、働き方について考える機会が多くなっていました。とくに昨年は、新しい仕事に挑戦したことで、働き方を深く考え直す1年となりました。 

 

働き手の苦悩がブームを生み出した

サービス残業あたりまえ」

「定時あがりは夢物語」

「常に時間と場所に縛られている」

こうした働き手の苦悩がおおきく取り上げられたのが、昨年末の電通問題であり、DeNAの問題ではなかったでしょうか。日本を代表する企業で起こった「働き方」に関係する問題は、おなじ悩みを抱える多くの人々に、変化を求めるきっかけを与えました。こうした機運が本屋に並ぶ「働き方本ブーム」の流れにつながったといえます。

 

「働き方は生き方」という言葉 

よく耳にする「働き方は生き方だ」という言葉。ともすれば仕事こそ人生という「仕事偏重型」のライフスタイルを想像させますが、僕の印象違います。

働くということは、時間・場所・意思を提供する(表現する)ことだと思っています。いつ働くのか、どこで働くのか、なにをしたいのか。こうした自分のなかにある選択肢と現実の問題を天秤にかける作業。それが働くということであり、突き詰めれば生きるということにつながります。 

 

自分の人生を納得するにはどう生きればよいのか。それを実現する・近づけるための働き方はなんなのか。その方法はどこにあるのか。

こうした自問自答を繰り返すことこそ、「働き方は生き方だ」という言葉の本質ではないでしょうか。 

 

自問自答に行動をリンクさせる 

そしてなにより大切なことは、自問自答のなかで導き出した答え(あるいは言語化できない曖昧な感情)を、行動にどう結び付けるかということ。

それこそが「働き方」というテーマを考えるうえで最も重要な鍵となってきます。

 

鍵を持てば、新しいドアを開くチャンスが生まれる。

今年はどれだけ新しいドアを開けるのか、いまから毎日が挑戦です。